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「えっ…」
アイツの後ろは大きく口を開いた窓。
後ろに大きく傾いたアイツはバランスを失い窓の外へ落ちていく。
「クスクスッ…さぁ大王…僕からのプレゼントです」
そう言って手招きをすると大王はトコトコと歩みより窓から下を見下ろした。
そこには見事な紅い花が咲いている。
「凄い鬼男君!!あれなんて花?!太子が花になっちゃったよ!」
「気に入っていただき光栄です」
紅い花を見た大王は今までにない位の輝きではしゃいでいた。
全てが計算通り、世間知らずな大王はやはり食いつき邪魔なアイツもいなくなった。
「ねぇ鬼男君!俺咲く瞬間が見たい!ねぇ見せてよ鬼男君!!!」
「だ、大王っそんなに押したらっ」
はしゃぐ大王が僕の服を強く握りしめ窓の縁へ連れていく。
抵抗する僕に構わずグイグイ押す大王を視界いっぱいに捕らえて僕はそのままバランスを崩した。
グシャッ
辺りに響く紅い花が咲く音。
飛び散る紅い花びらは周りを色鮮やかに彩る。
「綺麗だな……♪」
窓の縁から見下ろす大王は紅い花を飽きることなく眺め続け、黒く枯れてしまう頃にはまた新しい紅い花を大きな窓から突き落とした。
-end-
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