Nostalgic Blue

02

僕も学生時代にはよくベンチに座って本を読んでいた。

もっとも僕の場合は、こんな人通りの多いメインストリートのベンチに座って本を読むような馬鹿なことはしなかった。

僕はいつも人気の無い、校舎の裏にただ一つ設置してあったベンチに座って本を読んでいた。

何のためにそんな場所にベンチが置いてあったのかはわからないけれど、そこにベンチがあったことによって、少なくとも僕は自分の居場所を確保することができた。

僕は校舎の裏に置かれていたそのベンチを「特等席」と呼んでいた。

僕が勝手にそう呼んでいただけで、それが正式名称だというわけではない。

そもそもベンチには名前なんて普通は無いものだ。