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僕は猫達がどこに行ってしまったのかがどうしても気になったので、辺りを探してみることにした。 辺りといっても、この広場は十メートル四方程度の狭い空間なのだから、特等席に座ったままでも、首を回せば全て見渡せる。 少なくとも、そうやって見える範囲に猫達がいないことは明らかだった。 猫達がいるとしたら特等席の後ろに広がっている茂みの中に違いないと僕は思った。 彼らが身を隠せる場所はそこしかないのだ。 僕は立ち上がって茂みに近づいた。 それから、手で茂みを掻き分けながら、その中に入っていく。 だけど、猫達のいる気配は全くといっていいほど感じられなかった。 僕はしゃがみこんでみたり、ニャーンと鳴き真似をしてみたりしたけれど、猫は一匹も出てこなかった。 結局、僕は諦めて特等席に戻った。 時計を見ると、夏子との待ち合わせまでには、まだ十五分ほど時間があった。 もう少し、この場所でのんびりと過ごすことができそうだった。
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