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僕と夏子が実際に顔をあわせるのは、おそらく二年ぶりだ。
二年前に僕と夏子の共通の友人が交通事故でこの世を去った。
彼は僕と同い年だったから、まだ三十前だった。
あまりにも早すぎる死に、彼の両親も兄弟も、親戚も友人達も悲しまずにはいられなかった。
もちろん僕だって悲しかった。
何年も流されずに僕の中に溜まっていた涙が、一気に溢れ出してきた。
まるで、ダムの堤防が決壊してしまったかのように、とめどなく涙が溢れ出した。
僕はその友人の葬式で、夏子に再会したのだ。
それは、実に六年ぶりの再会だった。
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