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僕は夏子の肩を軽く抱いて、そのままの状態でテレビを見た。 だけど、たいした内容のニュースは一つもなかった。 有名な芸能人が結婚しただとか、駆け出しのミュージシャンが薬物使用疑惑で逮捕されただとか、僕の住んでいる世界とは全く別の世界で繰り広げられている物事を、アナウンサーは無機質に、そしてどこまでも機械的に読み上げていった。 僕は視線こそテレビに向けてはいたけれど、殆どその内容を聞いてはいなかった。 「ねえ、この前あなたが作っていた曲、完成した?」 夏子が僕の腕の中から上目遣いで僕を見ながら言った。 「一応、楽譜は書き終えたよ」 僕は答えた。 「そう。だったら後で聞かせてくれないかしら」 「構わないよ」 僕は言った。
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