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「いい曲だった。すごく、すごくね」 夏子はそう言って、小さな拍手をくれた。 だけど、彼女の瞳には再び、溢れんばかりの涙が溜まっており、目は真っ赤に充血していた。 それは、どう見ても感動して流す涙とは違っているように見えた。 僕の中にあった違和感は、微かな不安へとその姿を変えていた。 それは一種の予感のようなもので、はっきりとしたものではなかったけれど、これから僕にとって良くない何かが起ころうとしているような気がしてならなかった。
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