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僕のこの手の悪い予感はよく当たる。
それは正確に言うならば、予感というのではなく、相手の表情や態度から、ただならぬ雰囲気を読み取るというだけのことだ。
だけど、世の中にはそれを読み取ることのできない多くの人間がいるのだし、逆に、読み取られないようにそれを隠すのが上手い人間も多くいる。
だけど、僕はたとえどんな相手であっても、その相手がそれをどんなに必死に隠したとしても、何となくそれを感じ取ってしまうのだ。
時にはそれを感じとることなく、知らないままに過ごした方が幸せなこともあった。
だけど、それでも僕はわかってしまうのだ。
それは、僕に与えられたある種の才能のようなものであって、捨てようとしても捨てることのできるようなものではなかった。
僕に感じ取れるのが、良い予感であったならば、どんなに良かっただろうと僕は思う。
そうすれば、夏子が僕のことを好きだという気持ちにも、もっと早くに気がつけていたかもしれない。
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