1110人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、どうして僕と君が別れなくてはならないんだい？」
僕はできるだけ落ち着いた口調で言った。
気をつけていないと、きっと僕は取り乱してしまうからだ。
「私達は、きっと友達と関係の方が合っていると思うの。ただ、それだけよ」
夏子は静かにそう答えた。
だけど、僕は納得がいかなかった。
僕としては、彼女と恋人であるという関係について、これまでに一度だって不具合を感じたことなどないし、たった今現在においても、そのような気持ちは一欠片もない。
僕は一呼吸置いてから、彼女に尋ねた。
「他に好きな人ができたとか、そういうことかい？」
僕の問いかけに対して、彼女は黙って首を横に振った。
最初のコメントを投稿しよう！