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「君はもう、僕に対して恋愛感情を持っていないのかい?」
僕は言ってから、同じ内容のことを、別の言葉で言い直した。
「回りくどい言い方だな。もっとストレートに言うよ。君はもう僕のことを愛していないのかい?」
僕の質問に対し、夏子は首を左右に強く振った。
髪を振り乱しながら、力いっぱい首を振った。
その姿は、必死に僕に何かを訴えかけているように見えた。
「違うの。違うのよ……」
彼女はそう言って、一呼吸置いた。
「私は今でもあなたのことが好きよ。それはもちろん、友達としてなんかではなくて、恋人としてよ。私はあなたをとても愛しているし、あなたが私のことを愛してくれていることもわかっているわ。あなたが弾いてくれた曲を聞いて、たった今もそれを改めて実感したところよ」
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