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「正直に言うと、私はあなたと別れたくはないの。今でもあなたのことを心の底から愛しているし、いつまでもずっと一緒にいたいと思ってるわ」 「だったら何故……?」 僕は思わず夏子の言葉を遮った。 すると夏子は、待って欲しいと言うように、右手の人差し指を立てて、僕の口に当てた。 僕が小さな声で「ごめん」と言うと、夏子はコクンと小さく頷いて、話を続けた。 「私はね、あなたと結婚したいと思っているわ。子供を作って、幸せな家庭を築いて、老後には孫達に囲まれて、そして最後には一緒のお墓に入って、そんなふうに思っているの。本当よ。だけどね、私の中にはもう一人の私がいて、彼女がいつも私に語りかけてくるのよ」
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