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夏子を抱き締めながら、僕は考えた。
もしも僕が彼女と同じ立場にあったならばどうするだろうか。
果たして自分の不幸を恐れずに(本当にそうなるのかどうかはわからないけれど)、彼女と一緒にい続けることができるだろうか。
おそらく、僕にそんなことはできない。
僕はそんなに強い人間ではない。
それは、自分が一番よくわかっている。
だから、僕には彼女を責めることなんてできない。
「そんなに自分を責めたりしなくていいよ。僕は君を恨んだりはしない。親友に戻ろう」
僕は言った。
夏子は泣きながら頷いた。
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