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僕は福岡県の片田舎の街で育った。 かつては炭鉱で栄えていたらしいが、僕が生まれるよりも前に炭鉱は閉山し、街はその繁栄を失っていた。 特に産業もない僕の故郷の街は、ただ衰退を待つより他には道がなさそうだった。 街の中心部を南北に大きな川が流れている。 川の名前は遠賀川という。 駅から真っ直ぐ東に伸びる道を進むと、日の出橋という名の橋が架かっている。 遠賀川はその橋のすぐ上流で、大きな支流の一つである彦山川と合流し、川幅を増す。 街は、遠賀川を境にして、西側が市街地になっており、東側が住宅街と田園地帯になっている。 僕の家は、川の西側にあった。
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