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僕は狭いベッドの上にうずくまって、夏子のことを考えた。
僕と彼女が別れてから、もう一年も経っているのだ。
彼女に新しい恋人ができたとしても、何の不思議もない。
むしろ、恋人がいないという方が普通でないような気がする。
だけど、僕の心は釈然としない。
何か薄ぼんやりと霞がかかったような感じだった。
僕はその理由を考えてみた。
答えは簡単だった。
僕はまだ夏子のことを愛しているのだ。
まだ、彼女のことを忘れることができていないのだ。
だけど、僕にできることなんて何もない。
僕がどんなことをしたとしても、彼女が僕のところに戻ってくることはないだろう。
それに、僕達はうまく友人関係を保っている。
それまでが壊れてしまうのが、僕は怖くて仕方なかった。
僕はただ悶々と、夏子のことを考えながら夜を明かした。
ただひたすら彼女のことを考えながらベッドの上でうずくまっていた。
カーテンの隙間から、朝の優しい光が射し込んできた頃、僕は一つの結論をくだした。
もう、僕から彼女に連絡を入れるのはよそう、と。
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