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「僕が子供の頃に見た空は、もっと濃い青色をしていたような気がするんだ。いま僕達の上に広がっているこの空よりも、もっと深い青色をね」
僕は言った。
「そうかしら?」
夏子は首を傾げた。
「君はそんなふうに感じたことはないかい?」
「そもそも、空をそんなに真剣に眺めたことなんてないもの」
夏子はそう言って、クスッと小さく笑った。
「そうか」
僕は呟いて、もう一度空を見上げた。
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