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「ねえ、あなたが見たその深い青色をした空というのを、私も見てみたいわ」 夏子は空を眺めながら言った。 「難しいかもしれないな」 「どうして?」 「僕自身でさえ、もう何年もあの空を見たことがないんだよ。正直に言うと、自分でも時々、ただの幻想なのではないかと疑いたくなるくらいなんだ」 「だけど、あなたは確かにその空を見たのでしょう?」 「たぶんね」 「たぶん?」 「そう、たぶんだよ。確信は持てないんだ。何となく、あの頃の空はもっと深い青色をしていたというふうに感じるだけなんだ。僕の頭に残る記憶の中の映像には、確かにもっと深い青をした空が映っているのだけれど、それはただ僕が生み出した幻想にすぎないのかもしれない。そんなふうに思うこともあるんだ」 僕は答えてから、小さくため息を吐いた。
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