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夏子の言うように、世の中には『何となく』が溢れんばかりに存在するのだ。
『何となく悲しい』、『何となく嬉しい』、『何となくそんな気がする』という感じで、数えていけば数限りないだろう。
きっと僕達がこの世界にあって、確実にその実在を感じることができるのは、おそらく自分自身の存在だけだ。
それすらも、ふとした瞬間にわからなくなることがある。
まるで吸い込まれるように、『何となく』の中に入ってしまう。
そうなった時、僕達は混乱する。
自分が自分でないような気になってしまう。
もしかすると、ふとした瞬間に、再び自分自身を取り戻すことができるのかもしれないが、それがいつなのかはわからない。
もしかしたら、永遠に取り戻されることはないのかもしれない。
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