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生まれて一年ほど経った頃、ミケはもう十分に大きくなっていた。 時には空地を離れ、遠出をすることもあった。 彼女は猫達にとって最も好奇心旺盛な時期にあったし、そろそろ自分の生活する場所を見つける必要があった。 その日は朝から分厚い雲が空を覆い、太陽の光を完全に遮っていた。 昼間であるにも関わらず、まるで夜であるかのように辺りは暗く、今にも雨が降り出しそうな雰囲気が漂っていた。 だけど、ミケにとって、そんなことは関係なかった。 どうせ雨が降り出してしまえば、このまま空地にいてもずぶ濡れになってしまうのだし、雨があがってから体をブルブルとふるわせれば、ある程度乾いてしまう。 だから、ミケはいつもと同じように空地を出た。
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