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僕がミケの隣に腰を下ろすと、ミケは面倒くさそうに目を開けて僕の方を見た。 それから、ミケは何事も無かったかのように、再び目を閉じた。 僕はそっと手を出してミケの腹を撫でてみた。 それでもミケは目を開ける様子を見せなかった。 ずいぶん肝っ玉の太い猫だなと思い、僕は小さく笑った。 茂みの中からは、さっきまで群がっていた猫たちが頭だけ出して僕とミケの様子を見ていた。 広場は誰からも忘れ去られたかのように静かだった。 まるで時間さえも止まってしまったかのようだ。 ここには車の音も、学生たちの笑い声も、その他のどんな人間が立てる音も届かなかった。 ただ、ときどき柔らかな風が吹いて、木々がざわめくだけだ。 僕は鞄の中から読みかけの小説を取り出した。 こんなに本を読むのに適している場所を僕は見つけたのだ。 本を読まないのが何となくもったいない気がしたのだ。 本を開いて栞を外して、僕は本を読み始めた。 しばらく本を読んで、ふと隣を見ると、いつの間にかミケが起き上がり、僕の顔をじっと下から見上げるようにして見ていた。 僕は本に栞を挟んで閉じ、ミケと目を合わせた。 ミケは少し首を傾げるような動作をして、それから僕に擦り寄ってきた。 僕は手を伸ばして、ミケの首筋のあたりを撫でた。 するとミケは気持ち良さそうに目を閉じて、喉をゴロゴロと鳴らし始めた。 猫が気持ちいいときに喉を鳴らすというのは知っていたけれど、実際にそれを見るのは初めてだった。 僕はそれが面白くて、ミケの首筋を撫で続けた。
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