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だけど、僕は夏子に対して何もしてあげることはできない。 僕と彼女は別々の道を歩んでいるのだし、別々の世界にいるのだ。 僕達は、あの頃と同じように、同じ世界に生きているのではない。 あくまでも別々の世界に生きているのだ。 彼女は僕の世界に手を出すことはできないし、僕も彼女の世界に手を出すことはできない。 僕達の間には越えることのできない大きな壁があって、それを無理やり越えてしまえば、僕達はそれぞれが取り返しのつかないくらい粉々に壊れてしまうだろう。 そしておそらく、大切なものも、そうでないものも含めた多くのものを失ってしまう。 それが、別々の世界に生きているという意味なのだ。
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