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僕はけたたましく鳴り響く目覚まし時計のベルの音で目を覚ました。
時計を手に取り、時間を確認すると、午前九時を少し回ったところだった。
昨夜ずいぶん酒を飲んだわりには、これといった不快感もなく、清々しくすっきりとした目覚めだった。
今日は仕事も休みなのだし、もっと寝ていてもいいのだけれど、僕はせっかくの休みを寝て過ごすような勿体無いことはしたくはなかった。
それに、休みの日はたいてい、昼を過ぎると美奈がやってくるのだ。
特別に何かをするというわけでもないのだけれど、僕の家にやって来る。
そして、ときどきピアノを弾く。
最近では美奈も、少しずつピアノが弾けるようになってきた。
ときどき、僕の書いた楽譜を譜面立てに立てて、それを弾こうと悪戦苦闘する。
僕はいつもそんな美奈の後ろに立って、彼女にピアノの弾き方を教えるのだ。
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