1108人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
僕はベッドから這い出して立ち上がり、一度大きく伸びをしてから電気を点けた。
僕の部屋のカーテンは遮光カーテンで、ほとんど光を通さないから、カーテンを閉めている限り、部屋の中はほとんど夜と変わらないくらい真っ暗なのだ。
外が晴れているのか、曇っているのか、雨が降っているのかすらわからない。
僕はソファに腰を下ろし、タバコに火を点けた。
最近、家にいるときはロングピースではなく、缶ピースを吸う。
缶に入った、五十本入りの、フィルターのないピースだ。
僕はこの缶を開封した時の香りが何とも言えないほどに好きだ。
甘い香りが辺りに漂い、優しく鼻腔を擽る。
おそらくロングピースと同じ葉を使っているのだろうけれど、缶ピースの煙の香りはロングピースのそれとは違って、もっと濃厚で甘いものだ。
そして、僕はその煙の香りもまた好きだった。
最初のコメントを投稿しよう!