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「私ね、離婚したの」
夏子は唐突に言った。
何の感情もない機械のように、抑揚もなく、完全に無機質な声でそう言った。
「そうか。ちゃんと離婚が成立したのか」
「そうね。ずいぶんもめたけれど何とか話はまとまったわ。昨日の話よ」
「そうだったのか。こんな時に何と言ったらいいのかはわからないけれど、とりあえず『おめでとう』とでも言えばいいのかな?」
「それで、十分だと思うわ」
夏子はそう言って、電話の向こう側で小さく声をあげて笑った。
それから続けて、「あなたはこの三ヶ月で何か変わったことがあったかしら?」と言った。
僕は少し考えてから「恋人ができた」と答えた。
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