30

4/11
前へ
/371ページ
次へ
美奈はしばらく不思議そうな顔をして僕を見つめてから、「何かあったの?」と言った。 「どうして?」 僕は訊き返した。 「何となくなんだけど、明がすっきりしたような顔をしているように見えたから。何ていうんだろう、憑物が落ちたような、そんな感じの顔をしてる」 美奈は小さく笑いながら言った。 「そうかもしれない」 僕は答えて、二口目の煙を吸い込む。 「ねえ、カーテンを開けてもいいかな?」 美奈は立ち上がりながら言った。 僕は黙って頷いた。 それから、「今日は晴れているかい?」と訊いた。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1110人が本棚に入れています
本棚に追加