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美奈は頷いてから、「とてもいい天気よ」と言った。 それから勢いよく、カーテンを開けた。 部屋の中に眩いほどの太陽の光が一気に射し込んでくる。 僕はゆっくりと窓の方に視線を向けた。 ビルとビルの間に少しだけ青い空が見える。 僕は思わず立ち上がり、窓に近づく。 そして窓から空を見上げる。 そこに広がっている空は、僕が幼い頃に見た、あの濃く深い青をしていた。 僕はじっと空を見つめる。 まだ何事にも捉われず、自由に飛びまわっていた幼い頃の自分と、その日々を思い出す。
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