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大学に入学したばかりの頃の僕は、空いている時間を利用して、よく学内を散策していた。 別に隅々まで詳しく知ろうなんて思ったわけではない。 ただ、暇を潰すためにブラブラと歩いていただけだ。 僕はサークルにも部活にも所属していなかったから、授業の無い時間は基本的に居場所がなかったのだ。 学内を歩いていると、僕はよく運動部から勧誘を受けた。 中学校、高校を通して六年間、柔道をやっていたせいで、それなりに体格が良かったからだろう。 実際、僕に声をかけてくるのは、柔道部だのアメリカン・フットボール部だの相撲部だの、体格の良い選手が求められるスポーツをやっている人間ばかりだった。 僕はいつも勧誘を断っていた。 大学生になってまでスポーツをする気は、僕には全くなかったのだ。 ときには勧誘員にしつこく追いかけられることもあったけれど、しばらく無視していると、たいていの人間はそれで諦めた。
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