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僕は電話のベルの音で目を覚ました。 僕は反射的に時計に手を伸ばした。 時刻は四時を少し回ったところだった。 ちょうど学校が終わる時間だ。 夏子からの電話に違いない、僕はそう思い、まだ少し重い頭を必死に持ち上げ、這うようにして電話の所まで行き、受話器を取った。 電話はやはり夏子からだった。 「もしもし、進藤君。授業終わったわよ」 「そうか。レポート、ちゃんと出しておいてくれた?」 「もちろんよ。私、約束はちゃんと守るの」 「ありがとう。助かったよ」 「いいのよ。それよりも、これからどうする? どこで待ち合わせようか?」 「そうだな……」 僕はそう言って、少し考えた。 待ち合わせの場所なんて、別にどこであろうと構わないのだから、できるだけわかりやすい場所がいいだろう。 「じゃあ、大学の正門で待ち合わせよう。できるだけ早く行く。まだ起きたばかりだから、顔を洗って、髪の寝癖をなおしたらすぐに家を出る。たぶん、十分くらいで着くから、君は正門の前で待っていてくれ」 僕は言った。 「わかったわ。じゃあ、十分後に正門前で会いましょう」 夏子はそう言うと、電話を切った。
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