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部屋に入ってきてすぐの時には何も感じなかった。 だけど、このソファに座ってすぐに、僕は自分の中が緊張感で一杯になっていることに気がついた。 今この家の中に僕と一緒にいるのは、同い年の若い女の子だけだ。 僕達は外の世界から切り離されたこの空間にたった二人きりでいるのだ。 僕には今までそんな経験は一度だって無かった。 正直に言うと、僕はこの年(十九歳だ)になるまで、女の子と付き合ったことはない。 もちろんそういった願望がなかったわけではないけれど、僕はどうもそういうことに関してはどこまでも不器用だったのだ。 淡い恋心を抱いたとしても、それを相手に伝えることすら僕にはできなかった。 友人達は次から次に恋人を変えながら、それなりに楽しんでいたようだけれど、僕には生まれつきそういった才能が欠落しているのだ。
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