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僕は法学部と経済学部の大学院棟の間にある狭い隙間に入った。
何人かの学生が、まるで不審者でも見るかのような目付きで僕を見ていたけれど、僕はそれほど気にはならなかった。
僕は学生時代に通り慣れた細い通路を真っ直ぐに進んだ。
学生時代と同じように、その通路にはほとんど光は届いていない。
相変わらずじっとりと湿った空気が、そこに立ち込めていた。
やがて僕の目に眩しい光が差し込んできた。
広場は以前と変わらず、そこに存在していた。
僕の特等席も、まるで僕を待っていたかのように、そこにあった。
年月が経ったせいで、特等席はペンキが剥げ落ち、ずいぶんと古ぼけて見えた。
僕は一直線に特等席の方に向かって歩いた。
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