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新しい出会いがある春がやってきた。季節的に桜が咲き乱れる。故郷に帰ってきた。少しだけ、後ろめたさはあったけど。 「転校生です」 その一言で、教室中の空気がガラッと変わった。 男ですか、女ですか、などと言った質問を調子のいい生徒が担任にする。正直、どうでもいい。 「男です」 答えるのか。 心の中で、担任に突っ込んでしまった。その答えに男子生徒たちからはブーイングと落胆の声が、女子生徒たちからは黄色い声が聞こえた。 やばい。ハードルがあがった。 「入りなさい」 「はい」 心臓の音が増していくのがわかる。一呼吸ついてみる。やっぱり、緊張はとれない。このままいるのもしょうがない。ドアに手を掛けた。
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