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国語教師「―瀬、高瀬!」
広樹「痛たっ!!」
教科書の表紙だろう部分で思いっ切りぶっ叩かれる。
国語教師「授業中に居眠りとはえらく余裕だな」
広樹「あ、す、すいません…」
教室に笑いが生まれる。
国語教師「では高瀬、27ページの4行目から読んでくれ」
広樹「はい」
立ち上がり、先生に言われた通りの所から読み始める。
…俺は高瀬広樹(たかせひろき)。
ここ瀬川学園二年生の、言ってみればごくごく普通の学生だ。
何も特別な事も無いまま、今日も授業を終える。
……。
??「広樹、今日は部活来るのか?」
荷物をまとめていると、話しかけられた。
広樹「え?ああ、行くよ」
こいつは俺が中学校からの腐れ縁、藤代新(ふじしろあらた)。
新とは軽音楽部をやってる。
ちなみに俺のパートがリードギターで、新がドラムだ。
広樹「…あ!そういえばギター今日忘れてた…」
新「え?そうなのか?じゃあ今日はスペアのギターでも使ったら?」
広樹「うーむ…仕方ない、そうするか」
新「お前って自分のギターじゃないとちょっと調子狂うしな」
広樹「うん、何でかな」
まぁ、家であれだけ練習してたら馴染みってのがあるか。
新「それに、あのギターの音色も良いもんな。やり過ぎな位に毎日手入れしてるからな、いっつも新品みたいだ」
広樹「まぁな」
新「そろそろ行こうか」
広樹「ああ」
荷物を持ち、教室を出る。
…。
広樹「ん?」
部室の前まで来ると、中から音が聞こえる。
この音は…キーボードの音色か。
ドアを開ける。
広樹「やっぱり、音葉だったか」
音葉「あ、広樹、新!」
練習を止め、こっちに来る。
こいつは幼稚園の頃からの幼なじみ、遠野音葉。
今年はクラスが隣で、部活が同じなのだ。
広樹「本当に練習熱心だな、音葉は」
新「だな、いっつも一番乗りで一番張り切って練習してるからな」
音葉「うん!私が一番下手なんだから二人に負けない様に頑張らないと!」
音葉はガッツポーズをしてみせる。
すると、ドアが開く。
??「あ、先輩達、もう来てたんですね」
広樹「お、浜田か」
この子は浜田奏(はまだかなで)。
俺達の後輩でベースを担当している。
奏「相変わらず早い
ですね、遠野先輩」
音葉「うん、奏にも負けてられないからね!」
新「さて、そろそろ練習し始めようか」
広樹「だな」
……。
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