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俺は何にもない空間に吠えた。
「あれ? 本当に誰もいねぇのかよ」
何かしらの侵入者がいると踏んで叫んだのに、これでは、まるで俺が電波少年である。
「上手いこと言えてないし、古いからね。そのネタ」
「やっぱり誰かいるだろ?」
俺は部屋の隅々を探しようやく発見した。
ソイツは、俺の部屋の天井に穴を開けて覗いているのだ。
仕方がないので。
「チェスト!」
「ぎゃぁああああ!」
思いっきり指を穴に突っ込んでみた。
ゼラチンのような感触が俺の指に伝わる。
「ふぅ、覗き魔退治完了だな。いってぇぇええ!」
俺は覗き魔退治に油断した瞬間に、報復がやってきた。
俺の指を襲う激痛。
俺は指を上下に動かすことにより、壁から引き抜いた。
「なんなんだよ」
俺の指には、歯型が残っている。恐らくヤツは、俺の指に噛み付いたのだ。
この穴の向こうには、きっとワニがいるに違いない。
「消え去れぇ」
それは羽のような音である。
俺は第六感に従い右に避けた。
俺が先程たっていたところに五百円玉高価ぐらいの穴が煙りを起てて空いていた。
そして天井にも同じような穴が空いている。
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