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―――…あれ?此処は何処だろう。
目蓋に何かとてつもなく重いものを目蓋の上にのせられているんじゃないか?
と言うほど開かない瞼を無理矢理こじ開ける。
しかし開けるといっても左眼が少し開く程度で、右眼は全く開かなかった。左眼で僅かに見える眼の前をキョキョロと見回すと見えたのは――…
俺を…俺達をモルモットのように扱う大人達…。見慣れてしまった景色だ。
そして、手術室の照明の様なもの…
「(…あっ、そうか。俺…改造されてるんだ…。)」
――…もうヤダ…。こんな生活…
そう思うと同時に、頬に生温かい液体が流れた。
…血か?
…薬剤か?
…涙か?
何が流れてるなんて自分じゃ解らない。
――…解りたくもない。
いつの間にか視界が霞み始めた。
呼吸も元々苦しかったが、自分でも息遣いが荒くなるのが解った。
――…苦しい。頭がぼやっとしてきて…何も考えられない。
貧血だ。
いっそこのまま貧血で死んだっていい、だから早く楽にしてくれ...
朦朧とする意識の中そう思った。
――…思考が停止し始めると同時にだんだん眼の前が真っ暗になり始めた。
ありがとう。
死なせてくれて、楽にしてくれて、最悪な長く感じた人生だった...
―――…ねぇ、こんな人生を俺に与えた残酷な神様、
次の世界はどうか...
…どうか、
―――…人体実験のない、皆が幸せに笑える、そんな世界に俺は強く生きてきたいよ。
ねえ、神様――…
俺だって、それくらい欲張ったっていいでしょ?
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