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「という事は、俺の眼も…」
そう凛空に問うと、彼は軽く頷いた。
「そういう事だ。」
即座に返事が返ってきた。
恐ろしく自分が静かで顔が険しかった。
いつの間にか話し込んでいると、「ギイ」と牢を開ける音が聞こえる――。
遠くで仲間がまた一人…また一人と大人に連れ攫われていた。
「…いずれ…ああなるんだろうね。」
俺はそう呟くと凛空は連れ攫われた奴を見てか、俺を見て思ったのか、
「…陽大(ようた)…」
凛空は静かに、声を低くさせて言った。
「何?」
少し辺りが全て死んだかのように静寂に包まれた。
少しして、凛空は重い口を開いた。
「…壊しちまおうか…」
「……壊す?……何を?」
「…解らないか?ここだよ、」
凛空はそんな事を提案した。
俺は反対ではないが、無謀過ぎると思った。
「…どうやって壊すの?」
俺は一応その方法を尋ねた。
凛空は奥から書くもの書けるものを取り出して、
――つうたつ、おれたちはここをぶこわす。おれたちとふくしゅうしたいものはF―03799へ―
汚く、漢字など一切ない字で書いていた。
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