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「車長! 3番車両がっ!」
「うるさい! そんなことを言うヒマがあるなら──」
──砲撃しろっ! という車長の言葉は最後まで言えなかった。新たな光弾がその戦車の装甲をやすやすと貫いたからだ。
すでに戦闘と言えないものになっている。
一方的な殺戮だ。だが、《天使》は攻撃の手を休めないむしろ苛烈になっている。初めは10台いた戦車もすでに3台まで撃ち減らされている。
勝てない。
殺られる。
連隊長を含めた連隊の誰もがそう思った。しかし、
「な、なんだ!?」
異変に気づいたのは1人の兵士だ。
その兵士の声に導かれるように他の兵士たちは振り向いた。
その目線の先には豪雨の中を疾走してくる3台の大型軍用トレーラー。道路交通法なんて知るかと言わんばかりのものすごいスピードで突っ込んできた。
数体の《天使》が、グシャっというできれば聞きたくない音をたてて挽かれた。
連隊長は唖然としてその光景を眺めた。投げ捨てられたインカムから声が流れる。
「こちら──援護にはい──」
泥まみれの兵士たちが見守る中、トレーラーの荷台が走りながら開く。その中には黒を基調とする人型をしたロボットが2体、雨に打たれながらも跪くように座っていた。
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