第10話『放たれる銃弾』

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「分子振動ロッドか!?」  月城中尉の驚愕の声。それと同時にバルカンの発砲音。  右肩に被弾し、コンピューターが右手の操作機能を停止させた。慌てて月城中尉はすぐに後退するが、ベフィーモスも追撃を行う。こんなにも巨大のクセに、かなり軽快に動いてくれるのだ。脅威に違いない。 「クソッ……誰だよ紫電の性能を30パーセント低下させやがったヤツは。マジで負けるっつーの! てか、分子振動ロッドなんかで弾くなんて、んなもん不可能だろーが!」  悪態をつきながらも月城中尉は紫電の機動力を最大限に生かしてバルカンの弾を器用に避ける。ときたま装甲をかすることはあるが、大した問題ではない。  月城中尉は紫電をジャンプさせた。普段なら整備兵から文句の1つでも言われる行動だが、コイツを整備するのは07小隊の整備兵じゃないから心置きなくジャンプできる。  さっきまで足があった空間をバルカンの弾が凪いだ。 「クソ! 外した! ジャンプなんてありかよ!?」  ウエルッシュ大尉はターゲットスコープを覗きながら、バルカンの照準を合わせるのに必死だ。備え付けの武装だからどうしても融通が効かない。
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