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左手で機体を動かしながら右手で武装を扱う。そのスピードはもはや常人レベルではない。
それでも、バルカンは紫電を捉えることができない。紫電が速すぎるのではない。動く兵器に対する命中精度が悪いのだ。
「ジャパンは嫌いだが……兵器はジャパンのほうがいいな」
自身の正直な感想をポツリと漏らした。
しばらく分の悪い追いかけっこをしていると、視界が急にスモークに満たされた。
「ほぅ……煙幕か……イヤ、チャフスモークってところか」
視界が狭くなり索敵能力が格段に落ちていた。これではレール・ガンによる砲撃もままならない。頼れるのは重装甲のみである。
牽制のためであろう銃弾が装甲を叩いた。
「ジャパンの機械人形がナメた真似しやがって!」
バルカンの残弾数も忘れ、ウエルッシュ大尉は見えない敵にむけ、惜しげもなく銃弾をばらまいた。
第2ハンガー周辺は不思議なくらいに人影がなかった。
普段なら近辺を歩いている整備兵の姿も見当たらない。いや、人はいた。自動小銃を担いで、入り口を護衛するようにして。
その奥にはたくさんの整備兵たちが怒鳴り合いをしながら、指示をだしていた。
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