第1話『増援はまだなのか!?』

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「少佐、我々は間に合うのでしょうか?」  先頭を行く車両のハンドルを握った20代前半の若い男が口を開いた。動きやすそうな濃緑色の軍服を着ている。 「松田少尉、間に合うのではない。間に合わせるのだ」  そのとなりに座る少佐が言った。見るからに歴戦の貫禄がある20代後半の男だ。松田少尉と同じく濃緑色の軍服に身を包み、日本刀を小脇に抱えている。  彼の鋭い目の奥に鈍い輝きが見えたように松田少尉は思えた。 「すいません」  松田少尉は恐縮するが、 「まぁ仕方がない。少尉はこれが初陣なのだからな」  そう言うと少佐は黙って前を向いた。  現在、これら3台の大型トレーラーには3人ずつ人が乗っていた。先頭の少佐がいるトレーラーでは運転をする少尉、となりに少佐。そして、その後ろにもう1人いるだけだ。合計9人がこの部隊の隊員なのだろう。過少すぎる。 「あと30分くらいは覚悟しないといけないな」 「そうですね……あれ? おかしいなぁ」  適当な相づちをうつなり松田少尉が首を傾げた。インカムを耳に押し付けて必死に何かを聞き取ろうとしていた。 「どうした?」 「あ、いや、先ほど砲声がしたような気が……」
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