第1話『増援はまだなのか!?』

6/9
前へ
/235ページ
次へ
 大きさは中には4mくらいのもいるが、だいたい2、3m。強靭な肉体に圧倒的な力、そして、この世のものとは思えないくらいに醜い顔を持つ《天使》である。  1体の《天使》の腕が光り、前進していた日本軍陸上部隊に無数の光弾が降り注いだ。  悲鳴を上げる間もなく、ぼろくずのように息絶える兵士たち。  現在の戦況は一目でわかる。  たった30近くの《天使》たちにこの連隊は完全に負けているのだ。 「こちら司令部!」 「報告! 第23中隊全滅! 第122小隊撤退に入りま──うわぁっ!」  ブツン……ツーツーツー 「くそっ!」  連隊長は無言になったインカムを投げつけた。そして、この地形の地図を食い入るように睨みつける。 「わかってる! わかっているんだ! この連隊に30を超える《天使》どもと戦える戦力が残っていないことぐらい!」  そう、この連隊はすでに弾薬や兵員が尽きかけているのだ。戦車とて、予備の弾薬を使用している状態なのだ。このままいけば確実にこの連隊は全滅する。  ──なんとかせねば。  とはいっても手段はない。入ってくるのは絶望的な報告のみだ。  数体の《天使》から放たれた光弾が砲身を会頭中の戦車の装甲に突き刺さった。刹那、轟音とともに爆煙があがる。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1484人が本棚に入れています
本棚に追加