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大きさは中には4mくらいのもいるが、だいたい2、3m。強靭な肉体に圧倒的な力、そして、この世のものとは思えないくらいに醜い顔を持つ《天使》である。
1体の《天使》の腕が光り、前進していた日本軍陸上部隊に無数の光弾が降り注いだ。
悲鳴を上げる間もなく、ぼろくずのように息絶える兵士たち。
現在の戦況は一目でわかる。
たった30近くの《天使》たちにこの連隊は完全に負けているのだ。
「こちら司令部!」
「報告! 第23中隊全滅! 第122小隊撤退に入りま──うわぁっ!」
ブツン……ツーツーツー
「くそっ!」
連隊長は無言になったインカムを投げつけた。そして、この地形の地図を食い入るように睨みつける。
「わかってる! わかっているんだ! この連隊に30を超える《天使》どもと戦える戦力が残っていないことぐらい!」
そう、この連隊はすでに弾薬や兵員が尽きかけているのだ。戦車とて、予備の弾薬を使用している状態なのだ。このままいけば確実にこの連隊は全滅する。
──なんとかせねば。
とはいっても手段はない。入ってくるのは絶望的な報告のみだ。
数体の《天使》から放たれた光弾が砲身を会頭中の戦車の装甲に突き刺さった。刹那、轟音とともに爆煙があがる。
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