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「雲雀、お前の父親の死の真相もだ。事件に巻き込まれて死んだ、ただそれだけ。表も裏もない、これが事実だ」
水越司令を一瞥し雲雀は決心した。たとえ、何があってもこの決心は揺るぎはしない。
──コイツを殺してやる。
1発だけ、たった1発だけの発砲音がこの暗い空間に響き渡った。
月城は先ほど撃ったばかりの拳銃を下ろした。銃口からは硝煙の白い煙が漂っている。
「すいません、雲雀秘書官。けど、今ここで司令を撃っても何も変わりはしませんよ。戦争がなかったことに、お父さんが死ななかったことにはなりません」
ひどく優しい口調だ。先ほどまでの荒れ具合がまるで嘘のよう。
雲雀は衝撃で響く手首を押さえながら月城をにらみつけた。
「それと……あなたにこの人は殺せませんよ」
「なんたってお友達だもんね」
全く懲りてない水越司令がウインクをする。
ちょっとコイツ撃たれたほうがいいんじゃねぇの、とか思いながらも月城は黙ってこの空間から出ていくことにした。
これ以上は自分に関係のない話だから。あとは2人の問題だからだ。
階段を上がるところで小さな声が聞こえた。儚くて今にも消えそうな声だったが、確かに聞こえた。

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