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「もー、サンが準備もせずに出て行ったから私達で準備してあげたわよ」
「まったく直ぐにでも出発しないとコンサートまでに魔王討伐出来なかったらどうするんだ」
「何で私怒られてるの?私行くなんて言ってないし、コンサートだってお父さんたちが行きたいんだから自分達で魔王討伐に行ってよ」
「「サン」」
「はい、ごめんなさい、今すぐ行ってきます!」
行きたくないよ~、魔王なんて怖いよ~。でも、お父さんたちも怖いよ~。
「大丈夫よサン。さすがにサン1人では無理なのは分かってるからもう1人一緒に魔王討伐に行ってもらうから」
「へ?」
「ってことでサンをよろしく頼むよ、エリカちゃん」
「へ?私ですか?」
「「うん」」
「いや~、うんって言われても私だって魔王討伐は嫌ですよ」
「魔王討伐と言えばパーティーを組まなきゃね」
「!」
「魔王討伐なんて大それたことをするパーティーのメンバーと言えばやっぱり見た目も良いんだろうな」
「!!」
「知的な魔術師に熱血な拳闘士」
「!!!」
「優しげな僧侶にクールなガンマン」
「!!!!!」
「魔王討伐に行くのはサンだからサンが勇者ってことになるんだけど、サンじゃパーティーメンバーを集めるどころかまともに話しかけられるかも分からないのよね。だから、エリカちゃんが好きなようにパーティーメンバーを選んでいいのよ」
「ほ、本当ですか?」
「本当だよ」
「私、魔王討伐行かせていただきます!」
美形好きなエリカはお父さんたちによる説得、もと言い悪魔のごとき誘惑に簡単に乗せられてしまいました。
「サン、大丈夫よ!私がかっこよくて強いパーティーメンバーを集めてあげるからね!!」
エリカはお父さんたちにも負けぬほどの満面の笑みを私に向けてきました。そしてその時、本当に私の逃れる術は無くなってしまったのでした。
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