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「おいおい、初級魔法を力を抑えて使ったんだぞ。それなのに気絶するってお前ら真面目に俺と戦う気あったわけ?」
「あったわよ。でも、サンはろくに喧嘩もしたことがないんだからしょうがないじゃない」
「は?マジで?」
「マジで」
「はー、本当に変わってるなお前ら。まあいい、お前たちのことは気に入ったし止めを刺すのは止めておいてやるよ。俺はもう帰るからな。もし、まだ俺を倒す気なら『暗黒城』まで来な」
天の声(魔王はそう言うと目の前からフッと姿を消したのだった)
「何で作者が描写してんのよ」
天の声(いや、だって主人公視点で話してるのに主人公が気絶したままだから)
「あ、そうだった。はぁー、いったん村に戻るしかないか」
―――――――――――
―――――――
――……
「あれ?私の部屋?」
「あ、目が覚めた?」
「あ、エリカ。旅に出たはずなのに何で私の部屋に居るの?もしかして今までのは夢!」
「嬉しそうなところ悪いけど夢じゃないわよ。村を出て直ぐに魔王に出会ってやられちゃったからいったん村に戻ってきただけよ」
「そ、そうなんだ・・・」
「あら、サン目が覚めた?」
「あ、お母さん。うん、今目が覚めた」
「そう、それなら早く再出発しなきゃね」
「え?」
ガシ
「え?」
「村の門までは送ってあげるわね」
「え、ええぇぇぇ」
私の腕を掴んだままお母さんは走り出した。
「それじゃ、いってらっしゃい」
満面の笑みで手を振りながら見送るお母さんを背に私達はようやく本当に魔王討伐に出発したのでした。
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