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それもまた良い、と言ったのは紛れもない自分だった。
何故そう思ったかなんてもう覚えてはいない。だが、あの時は本気だった。
「さようなら。僕の愛しい人」
自分の胸を貫く小さな金属。
独特の射撃音と共に、それは的確に心臓に突き刺さる。
徐々に冷めていく体温。
小さくなっていく鼓動。
最期を、感じた。
「最高だろう?何の意味もなく、辛く、苦しい思いだけをしながら生きていく事から解放される気分は」
それも良いな。
“死”も悪くはないな。
だけど。
その代わりに、誰かは悲しむのだろう。
終
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