スイーツの憂鬱。

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 無表情だ、いつだってパティシエは。 俺が何したって、まるで「興味がない」と言うかのように。 俺ばっかり、パティシエが好き。 「いいじゃん、そいつと宜しくやってろよ」 「俺は二度も同じことは言わない」 「……灰にするのか?」  出て行くのならば灰にすると言った。 自分が生み出したモノが自分に従わないのが気に入らないんだろう。 パティシエはそういうやつだ。 「俺はアンタのコレクションじゃないし、勝手に生み出されて勝手に灰にされるのもゴメンだ。生み出したまま放置するなら最初から生むなよ!」  頭にきて言いたかったことを言うと、パティシエはニヤリと笑った。 「構ってほしかっただけか」 「ちっ、違う!!」 「違わないだろ」  パティシエは呆れた様に言うと、また厨房に入って行った。 後を追い、厨房に入る。 パティシエは珍しく笑う。 「何笑ってんだよ?!」 「俺はお前が可愛いよ」 「……は?」 「当たり前だろ、どんだけ苦労したと思ってるんだ?」  パティシエは俺を引き寄せて、俺の髪を撫でた。 「苦労して生み出したスイーツに、パティシエが愛を持ってないと何故思うんだ?」 「……だって」 「口応えするな」 「はぁ?!」 「黙れ、カス」 「かっ、カス?!」  反論しようと思うのに、突飛な発言に言葉を失う。 「パティシエがスイーツに甘くないわけねぇだろ」  馬鹿か、と付け加え、パティシエは俺の髪に口付ける。 「分かったら大人しくしとけよ」  そう言うとパティシエは俺から離れ、再びスイーツ習得を始めようとする。 「ちょ、今の流れはこのままイチャイチャするカンジじゃないの?!」 「俺は今忙しい。見て分からないほど馬鹿なのか?」 「いやいやいやだってさ! っていうか他のやつにもあんな風にするのか、アンタ」 「……それはお前次第だな」  勝ち誇ったようにパティシエが笑う。 「いつか絶対俺が1番だって言わせてやる!」 「ああ、そう。取り敢えず黙れ」  余裕な表情で言われ、俺は既に心が折れそうだった。 ------ 取り敢えずここまで。
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