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「どうしてついてくるかな?」
歩みを止めずにあたしは言う。
『どうしてみえるかな?』
あたしの隣にフヨフヨと浮く彼はあたしに聞き返す。
「あたしに聞かないでくれる?」
彼の方を見ないであたしはそのまま答える。
『だって誰も俺の相手してくれないし?』
あたしの前に彼はわざと回り込む。
「そりゃ、見えないし声も聞こえないからね」
ポケットから数珠を出しあたしは彼を追い払う。
『どうしてみえるかな?』
追い払われた彼はまたもやあたしの隣へ移動してフヨフヨ浮いている。
「どうしてついてくるかな?」
そして振り出しに戻る。
さっきからこの会話の繰り返し。
何でこうなってしまったかと言うと……。
今を遡る事数十分前……。
***
「んー。
今日もすがすがしい朝が来た!」
あたしはんーっと背伸びをして朝の新鮮な空気を沢山吸う。
爽やかな朝にあたしは癒される。
あたしの名前は森本 麗(もりもと れい)。
高校三年生。
極々一般的な高校生……と言いたいんだけどちょっと?他の子とは一味違うんだよね。
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