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「…………」
あたしは今更ながら聞こえないふりをして先に進む。
『待ってよ。
話は終わってないから!』
あたしの横にピタリとくっつき彼はフヨフヨ浮く。
そして……。
この物語の冒頭に戻る。
***
『君はさ、このガッコの生徒なの?』
しつこくしつこくイケメン幽霊の彼はあたしに付きまとう。
そして。
とうとう、あたしの通う高校までついてきてしまった。
もしかして……。
あたし、彼にとり憑かれてる?
「そうよ。
見ればわかるでしょ。
こっちに向かってるし、制服着てるし……」
あたしは今堂々と名前の書かれた看板を引っ提げてる正門前に立っている。
行き交う生徒達と同じデザインの制服を着ている。
何処からどう見てもこの学校の生徒ってわかる。
それが例え幽霊でもね。
『ふぅん』
短く返事をして彼は後ろ頭で手を組み呑気にフヨフヨと浮いてやがる。
……人の気も知らないで。
「ついてくるのはかまわないけどガッコについたら話しかけないでよ?」
正面を向いたまま他の生徒達に怪しまれないようにあたしは彼に忠告する。
『わかった』
意外に素直に承諾する彼。
「よろしい」
彼の素直さに違和感を感じつつもあたしは彼を信じることにした。
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