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「うわぁ!」
あたしの声に驚いた少年は更に身を乗り出した。
「おバカ!」
慌ててあたしは少年を掴む。
少年の重たさに腕がフルフル震えながらも渾身の力を込めて引きあげる。
「ハァハァ。
落ちるかと思った……」
全身汗まみれの少年は地面にへたり込み肩でハァハァと荒い呼吸をしている。
「あたしゃ、手がちぎれるかと思ったよ。
てか、死のうとしてた奴が言うセリフ?」
息を整えあたしは腕に走る激痛を堪えながら少年に言う。
こんな状況だと言うのに幽霊の彼はフヨフヨと宙に浮き冷静な顔をしている。
冷静すぎる幽霊の彼にイラッとする。
「死ぬ?
誰が?」
不思議そうに少年は首を傾げる。
おやおや。
雲行きが怪しい……。
「君」
あたしはビシッと少年を指さし言い切る。
「んなわけないじゃん」
顔を左右にふり少年は思いっきり否定する。
「え?
でもさっき……」
少年の顔には『死相』が出てたように思えたけど。
下何か見て思いつめてた顔してたし……。
幽霊の彼だって……。
「下見てただけだし」
少年は困惑した表情で答える。
「…………」
あたしの早とちり?
何たる失態。
自分のした事に言葉を失う。
そしてさり気なく幽霊の彼に視線を移す。
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