プロローグ

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 つまり、摂理も“ルール”も直視出来ぬ不完全な存在という事になる。  不完全なモノは完全になるために足掻くモノ。だが、それは一般的常識と自らの意識によって阻まれる。  ------摂理に飛び込めば自分は真の人間となれる。でも、殺人は最大の罪。そんなこと、してはいけない。  ------“ルール”に戻れば何事も無く、ただひたすらモノという存在で楽に生きられる。でも、それでは摂理で生きられない。  子羊のような怯えた身体を震わせて、どちらにも根付けない。迷いという弱さ。それがあるから不良は生きられない。  勝手に浮遊してしまった者は自らで地に降り立つ事は出来ない。なら、他人が手を差し延べて、迷いを断ち切るしかない。  それが救済だ。救済者としては“ルール”の範疇でモノとして生きるよりも、摂理の中で人間として生きて欲しい。    当たり前でしょ。救済者なのだから。  だから迷える子羊を探す。神様が与えた三つのモノを無駄にしない為にも、摂理を広げる為にも。  子羊は救済者の手を取るだけで簡単に摂理に踏み込める。  それは“ルール”に生きるよりも容易く、罪もない素晴らしき救済。そして、救済が進んだ世界は新しく、単純で神様が望んだものとなるだろう。  さぁ、行こう。“ルール”に縛られた街へ。そして救おう。  迷える子羊に救済を---------
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