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「あの・・ピニャコラーダいただけますか。」
どうやら彼女は今夜は飲みたい気分らしい。
海をきらきらと照らす南国の星空は彼女というお姫様を着飾る宝石にしか見えない。
那波のドリンクのオーダーに呆けてしまう深であった。
「はい、シン。ぼけぼけしてチャ駄目ね。今日はお客さんいっぱいだよ、きっと。」そんな深を横目にテーブルを拭くボブはチャモロの日本語が上手な青年。
”くすっ”と那波が笑う。
「あっ、ごめんなさい。二人のやりとりがおかしくて。」
普段、あまり笑わない那波の笑顔は深にとっては彼の
ハートをジャストミート状態。
キュートな天使の何者でもなかった。
「ほらほら団体さんが来たぞ。」
カウンターの奥からマスターのケンさんの声が。
その声が聞こえるやいなや那波のそばにいた深とボブ
はその場を離れた。
「ごめんね、ゆっくりしたいだろうけどあいつら落ち着かないやつで。」
ケンさんが那波に言う。
「いえ、そんな気にしてませんよ。」
そう言って彼女はピニャコラーダ(ココナッツがベースのカクテル)の傘の飾りつけの部分を手にとり、2,3回右手の親指と人差し指に挟んで
回転させながらケンに微笑みかける。
すると、店内には深の大好きなチャモロソングが
流れてきた。
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