序章 彼女はいつも海を見つめていた。

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♪アイネニィーーー♪ 常連のお客さんが気持ちよさそうに歌う中、 深は信じられないといった表情をしながらローカルの人達がたくさん見ているステージで那波と踊った。 ご丁寧に、ローカルの気のいいチャモロのカップル達は僕達に真ん中で踊るように場所を空けてくれた。 あったかい彼女の手のぬくもりを感じながら。 そして、ダンスはチークダンスだったのでお互いの身体が引き寄せられた 瞬間、深の視線の先には那波の顔が近くにあった。 「シンさんで・・・って呼んでよかったですか。」 言葉を先に発したのは那波の方だった。 「は、はい、シンでいいです。たぶん僕が年下だから。」 緊張のあまり余分なことを言ってしまったシンであった。 「ふふ、じゃあシンくんでいいわね。」 そんなシンのデリカシーのないトークをさらりとかわす所は那波は大人の女性であった。
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