赤外線

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「珍しくバイト休みなの?」 「おぅ! だからこのまま柊の家に行って晩御飯食いに行こうとしてた。」 こいつはなんのためらいも無く、人の家に邪魔し、晩飯を食おうとしているのか? 「あのな。肝心な俺は聞いてないんだが?」 「だって今、言ったもん。」 家計を助けるため高校入学と同時にファミレスでバイトを始めた。 弟と妹を持つ雄介はバイト後、炊事洗濯までやっている。 弟と妹に、まともなものを食べさせられていないためか物寂しそうに見え、いたたまれない思いになった。 「・・・まぁいいよ。早く帰ろ。」 「マジ!? あっ、チビ達もいい?」 「母さん喜ぶよ。いっつも静かな食卓だから。」 「サンキュー!」 見かけによらず苦労しているし家庭的。 少し憐憫の情を持ってしまう。
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